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歴ログ -世界史専門ブログ-

おもしろい世界史のネタをまとめています。

YouTubeで聞く世界の古代音楽

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現代によみがえる古代の音楽

 たしか論語だったと思うのですが、漢文の授業でこんな話があったのを覚えています。

孔子が斉の国に滞在していた時、韶の音楽の演奏を聞く機会があった。孔子は「音楽が人の心をここまで揺さぶるとは」と大変感動した。あまりに感動しすぎたので3か月近く呆然として過ごし、肉の味も分からないほどであった。

 一説によると、孔子が聞いた韶の音楽とはいくつも銅鑼を並べて奏でる、一種のパーカッションだったそうです。孔子を感動させた古代中国のパーカッション音楽とはどういったものか、すごく気になりますね。

音を後世まで残すのは至難の技だったに違いありませんが、実際に古代の音楽のいくつかが現在でも再現されて、聞くことができます。

 

 

1. 「フルリ人の賛美歌」(シリア)紀元前1400年頃

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ドレミ調の音階で作曲された3,400年前の曲

フルリ人は紀元前25世紀ごろから北メソポタミア、アナトリア東部に居住した民族で、有名なミタンニ王国を建設したのも彼らです。

1955年にシリア西部ウガリットで発掘された石板のかけらには、フルリ人が残した数々の情報が掘られていましたが、その中に3,400年前のものと考えられる讃美歌の楽譜が含まれていました。

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この讃美歌は果樹園の女神ニッカール(Nikkal)に捧げられたもので、作者名は伝わっていませんが、タブレットには「ドレミ」調の音階の指示がついてどのように奏でるかも描かれており、現在でも再現可能なほど正確です。

女神に捧げられたものらしく壮大で優雅な曲です。現代でも全然通用しますね。素晴らしい。

 

 

2. 「インハーホーイのハープの歌」(エジプト)紀元前1160年頃

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ハープで奏でて歌う古代エジプトの弾き語り

古代都市テーベの王の墓の中から、愛の詩と歌が発見されました。紀元前1160年頃のものと考えれています。

この歌はハーブの弾き語りのようなもので、曲は残っていないのでどんなメロディーだったかは分かりませんが、残された歌からどのように歌われたのかを推察したのが上記の動画です。

一般的には古代エジプトでは「楽譜」というものが存在しなかったとされており、曲が失われているケースが多いようです。となると、楽器を弾けるのは特殊技能ということになり、先祖代々、曲と共に受け継がれるものだったのかもしれません。

 

 

3. 「ベス・ガゾ」(シリア)2世紀頃

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シリアに残る初期キリスト教の音楽

ベス・ガゾ(Beth Gazo)は初期キリスト教の音楽集で、約1800年前に成立したものです。

曲は古代アラビア語の方言が用いられ、これはイエス・キリストが話していた言葉に非常に近いと考えられています。シリア正教会の司祭には、この古い言葉を読めて、メロディーと曲を組み合わせて歌うことができる人物がいるそうで、彼らによっていくつかの初期キリスト教徒の音楽が復活しました。

元々ベス・ガゾには数千もの曲が含まれていたそうですが、現在に残っている曲はわずか700で、また完全にメロディーまで再現できているのはわずか4曲に過ぎないそうです。

 

4. 「聖ボニファティウスへの聖歌」(ドイツ)900年頃

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ヨーロッパのごく初期の多声音楽

ポリフォニー(多声音楽)は、ヨーロッパでは中世に始まりルネサンス時代に流行したスタイル。それまでは音楽と言えばモノフォニー(単一の旋律だけの音楽)でしたが、複数人で歌うポリフォニーの発明によってヨーロッパの音楽を大きく発展させることになりました。

従来、ウィンチェスター・トロッパーと言う名で知られる楽曲集が最古と考えられていましたが、大英博物館でそれよりも100年近く古いポリフォニーの曲が見つかりました。それがドイツの聖人「聖ボニファティウス」に捧げた聖歌です。

いつの時代のものかって聞かれても分かりませんね。今でも普通に歌われていそう。

 

 

5. 「デルポイのアポロンへの讃美歌」(古代ギリシア)紀元前128年

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作者名まで分かっている古代ギリシアの讃美歌

1893年にフランスの考古学者が、ギリシアのデルポイ神殿で2つの讃美歌を発掘しました。紀元前128年に作曲されたもので、音楽の神アポロンに捧げられたもの。

前半と後半があり、前半には歌詞がありますが後半は楽器だけで、そのどちらも作者名まで分かっています。前半はアテニオスという男の息子でアテニオスという名で、後半はトニノスという男の息子のリメニオスという名です。

いかにも古代の音楽という感じで、ロマンを感じるいい曲です。

 

 

6. サーマ・ヴェーダ(古代インド)紀元前2000年頃

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古代インドの英知が結集された讃美歌

サーマ・ヴェーダは、バラモン教の聖典のヴェーダの一つで、祭祀の際に歌われる讃美歌を集めたものです。

古代アーシャの言葉で歌詞が書かれており、約4000年前に始まり、紀元前1200~1000年の間に体系化されました。

その多くは聖典「リグ・ヴェーダ」と、その他様々なヴェーダから文献を参照しており、その内容は宇宙観や神話が含まれており、当時の英知を結集したものです。

サーマ・ヴェーダはインドの古典音楽の基礎を成しており、後世のメロディーや歌詞に大きな影響を与えました。インド音楽史をたどる上で非常に貴重。

確かに、聞いただけですぐ、インドの音楽って分かりますね。

 

 

7. セイキロスの墓碑銘(古代ギリシア)紀元前2世紀

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完全な形で残っている世界最古の楽曲 

「セイキロスの墓碑銘」は、現在のトルコの町アイドゥンで発掘された墓石に刻まれた歌詞。この歌詞にの行間には音符による旋律の指定まであり、推測が一切なく完全な形で再現できる世界で最古の曲なのだそうです。

この墓の主はセイキロスという男で、彼が自分が作詞作曲した曲を「永遠に残るように」と自分の墓に刻み込んだものです。

歌詞は以下の通り。

生きている間は輝いていてください
思い悩んだりは決してしないでください
人生はほんの束の間ですから
そして時間は奪っていくものですから

…何だか泣けてきます。

 

 

 

まとめ

孔子じゃありませんが、古代の人々が聞いていた音楽をこうやって聞けるのは何とも感動的です。

長い時間を乗り越えて残ったものですから、普通の曲と厚みや格が違うというか。

是非ゆっくりお聞きください。

 

 

参考サイト

Samaveda - Wikipedia

"10 Ancient Songs And Their Modern Mysteries" LISTVERSE

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