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歴ログ -世界史専門ブログ-

おもしろい世界史のネタをまとめています。

消滅した10のグローバル・ブランド

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かつて一世を風靡したものの消滅の憂き目にあったブランド

コーポレートブランドは入れ替わりが非常に激しく、毎年新たなブランドが生まれては消えていきます。

 人知れずひっそりと消えていくものがほとんどですが、中にはグローバルブランドにまで成長しておきながら、ある時から突然姿を消したものもあります。

ということで、見たり聞いたことがあるけど実はもう存在しないブランドを集めました。

 

 

1. ハマー

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GM騒動の煽りを食らって倒産したSUVブランド

ハマーは1992年にGM(ゼネラル・モーターズ)のSUVブランドとして創立されました。

いかにもアメリカらしい、戦争にでも行くんかってくらいゴツいデザイン。男の子の夢をそのまま形にしたような感じですね。

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ハマーブランド自体はコアなファン層が存在したし、現在もファンは多いのですが、親会社のGMが2008年に経営危機に瀕し、2009年2月には事実上の経営破綻をしてしまったことでハマーブランドも売りに出されることになりました。ファンは多かったけど、粗利率は低かったのかもしれません。

一時は中国の騰中重工に売買することで話が進んでいたのですが、どういうわけか話がこじれて売却話はご破算に。結局2010年8月にハマーブランドは消滅することになってしまいました。

日本でも今でも公道を走っているのを見ますが、ブランド自体なくなってしまったので、中古市場で超貴重品になるんでしょうね。

 

 

2. ブロックバスター

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イノベーションの波に一気に飲み込まれたビデオ屋

ブロックバスターはアメリカに拠点があったレンタルビデオ・チェーン。

1990年代には関東を中心に日本でも展開していたので、記憶にある方も多いかもしれません。

ピーク時の2000年代半ばには、全米で店舗数9,000店、従業員6万人を抱える巨大企業にまで成長しました。ところが、ネットの普及とともにNetflix、Hulu、i-Tune、その他ケーブルオンデマンドサービスが台頭し、人々はわざわざレンタルビデオ屋に足を運ばなくなっていきました

アメリカは広いし、日本みたいに歩いてレンタルビデオ屋になんか行けないでしょうから、その変化はドラスティックだったでしょう。急速に業績が悪化し、2010年に経営破綻。その後2011年に約300の直営店を全て閉鎖しました。

頂点から谷底までの転落の速さが凄まじいです。

 

 

3. ゼネラズ・フーズ

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その遺伝子は今も生き続けるコーヒーが主力の食品会社

ゼネラル・フーズは、1895年にチャールズ・ウィリアム・ポストが設立したポスト・フーズがその前身。

シリアルの生みの親であるケロッグの弟子であるポストは、カフェイン・フリーで妊婦や幼児にも安心して飲めるコーヒー「ポスタム」を売り出して急成長を遂げました。

1927年、会社は主力製品のポスタムを会社名にし、「ポスタム・フーズ」に命名変更。その2年後の1929年に、冷凍食品が主力のゼネラル・フード・カンパニーを買収し、名前をゼネラル・フーズ・コーポレーションとしました。主力商品はポスタムやシリアルで、日本には1954年に日本法人を作ってコーヒー商品などを展開しました。

ところが1985年にフィリップ・モリスに買収され、その後クラフト・フーズと合併しクラフトゼネラル・フーズとなりゼネラルフーズは消滅しました。

日本では味の素との合弁会社AGF(味の素・ゼネラル・フーズ)が、ブレンディやマキシムなどコーヒー商品を主力して展開をしています。

 

 

4. コンパック

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かつては世界No.1の売り上げを誇ったPCブランド

もしかしたらこの画面をCOMPACブランドのラップトップで見ている人もいるかもしれません。うちの押し入れにもCOMPACの古いラップトップがホコリをかぶっています。

コンパックは1982年にテキサス・インスツルメントやIBM出身のメンバーが設立。

世界で初めてIBMのソフトウェアと互換性のある廉価で持ち運びのできるパソコンを発売し、売り上げを拡大させました。

1990年代には他社に比べ圧倒的に廉価なパソコンを発売してシェアを伸ばし、1994年には世界No.1のパソコンメーカーになり、1998年にはIBMに次ぐ世界2位のコンピューター企業にすら成長しました。

ところがIBMやHPのような、ハードだけでなくソフトウェ開発やサーバーなどのIT全般を取り扱う総合企業への脱皮に失敗して粗利率の低いパソコン生産に固執したことに加えて、インターネット時代へ対応したパソコンの品質対応でも遅れをとり、次第にシェアを落としていきました。

輝かしい1998年からわずか4年後の2002年、コンパックはHP(ヒューレット・パッカード)に買収されてしまいました。

ものすごい急落っぷりですね…。

しばらくCOMPACブランドのパソコンは残ったものの、徐々にHPへ置き換えが始まっており、サーバー製品などにわずかに残るのみとなっています。

 

 

5. エンロン

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腐敗にまみれた「超優良企業」の破綻劇

2001年に世界を揺るがした「エンロン・ショック」を覚えている方も多いと思いますし、実際に被害を受けた方もいるのではないでしょうか。

エンロンは2001年に巨額の粉飾決算が明らかになり破綻に追い込まれたのですが、それまでは安定したレベニューとイノベーティブな企業体質を持つ「超優良企業」だと見なされており、約2万2000人もの従業員を抱える大企業でした。

もともとは1931年設立のエネルギー関連企業ノーザーン・ナチュラル・ガスが、同業のヒューストン・ナチュラルガスと合併して1985年に設立されました。

創業間もなくから決済にデリバティブを取り入れ、金融工学を駆使して数字上「安定的な経営」を続けました。また粉飾決算やインサーダー取引も当時から行っていましたが表面上に現れることはなかった上、エンロン・オンラインなど当時としては画期的なITシステムをリリースするなど、「安定した利益を上げた革新的な会社」として市場では高く評価されていました。

ところが2000年に入り、海外を中心とした大規模なインフラプロジェクトがことごとく失敗に終わり徐々に株価が下がり始めていたところに、ウォールストリート・ジャーナルがエンロンの組織的な粉飾決算の事実をすっぱ抜いたことで株価は滝のように落下。

エンロンの各種事業の売却交渉が行われたものの、調査が進むにつれて不正行為があれこれ見つかりとうとう2001年12月に破産しました。

 

 

6. トランスワールド航空

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冷戦期の世界の航空業界のトップブランド

トランスワールド航空は1930年に設立された老舗の航空会社で、空の英雄リンドバーグが顧問についていたことで国際的な知名度を得ました。

戦後にオーナーで大富豪のハワード・ヒューズの投資を元にして本格的に国際線の就航に乗り出し、最新の航空機や機材を導入してライバルの航空会社をおいてけぼりに。瞬く間にパン・アメリカン航空と並ぶ世界の航空会社のビッグ・カンパニーとなりました。

当時の主力路線はアメリカーヨーロッパ路線で、多くのハリウッドセレブたちが利用していたため、「セレブがヨーロッパバカンスを楽しむ時に使うTWA」みたいなハイソなブランドイメージ確立に成功していました。

ところが1970年代後半の航空業界の規制緩和を受けて格安航空会社が大量に参入し顧客を奪われ経営が悪化。テロの標的となったり大規模な航空機事故に見舞われたり不運も重なり、とうとう2001年にアメリカン航空に買収・吸収されました。

 

 

7. デロリアン

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革新的なクルマを世に出してすぐに消えた伝説の会社

デロリアンは伝説的なクルマ「DMC-12」のメーカーとして非常に有名。

 DMC-12は映画「バックトゥー・ザ・フューチャー」に登場したクルマで、現在でもカルト的な人気があります。

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Photo by Grenex

1975年、GMの副社長だったジョン・マッカリー・デロリアンが理想とするクルマ作りを目指して独立し設立。彼のこだわりか、会社が設立されて新車ができるまで何と5年を要し、1981年にリリースされたのがDMC-12。未来を感じさせるような奇抜なデザインが高評価で、初年度はまずまずの売り上げを記録しました。

デロリアン社は北アイルランドに組み立て工場を設立し、イギリス政府から補助金を支給されていたのですが、時のサッチャー政権の緊縮によって補助金が打ち切られてしまった。さらには社長のデロリアンの薬物疑惑がマスコミに流れると、一気に資金難に陥りDMC-12が出た翌年の1982年に早くも倒産してしまいました。

おおよそ1年でデロリアンが作ったクルマはDMC-12のみでわずか8000台ほど。そのあまりの台数の少なさとスキャンダラスなストーリーがファンの心を捉え、現在でもDMC-12はレア中の激レア車であり続けています。

 

 

8. RCA

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全米のラジオ会社の大半を支配下に置いていたエレクトロニクス企業

RCAは"Radio Company of America"の略称で、1919年に設立された老舗のエレクトロニクス企業。

「蓄音機で亡き飼い主の声を聞くニッパー」のロゴは、日本ではビクターのロゴで有名ですが、アメリカではRCAが使用していました(元の商標はグラモフォン社(現EMI社)のもの)。

第一次世界大戦後、軍が持っていたラジオ技術を民生用に活かすべくGE社やAT&Tなど複数の企業の出資によって設立。

RCAはラジオ受信機の製造のみならず、ラジオ放送やレコードといったメディア事業も展開。全米のラジオ放送局の大半を支配下に抑えました。また真空管やカラーテレビなど、初期エレクトロニクス時代の象徴的な機械の製造販売で世界的なシェアを得るに至りました。

ところが、次世代の映像記録媒体の開発競争の中で、ビデオテープレコードに対抗してビデオディスクの開発に注力するも規格争いに敗北。

多額の資金をつぎ込んだ社運を賭けた争いに敗北したことで急速に資金難に陥り、1986年に親会社のGEに吸収されてしまいました。

 

 

9.  スタンダード・オイル

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世界初の独禁法で解散させられた超巨大企業

スタンダード・オイルは石油王ジョン・ロックフェラーによって1870年に設立された会社。ロックフェラーは強引な手法で国内の石油会社を次々と買収していき、設立から8年後の1878年には国内の石油90%を支配するまでに急成長を遂げました。

 ところが1890年に連邦議会がシャーマン法(反トラスト法)を設立し、スタンダード石油の独占を違法としました。ロックフェラーは規制の甘いニュージャージー州に本社を移転するなどして法の目をくぐり抜け規制を逃れますが、とうとう1911年にアメリカ最高裁から解散命令が下り、34社の新会社に分裂しました。

エクソンモービル、エッソ、シェブロン、テキサコなどなど、その顔ぶれは今見ても一個一個が超巨大企業で、いかにスタンダード・オイルがデカすぎる会社だったかが分かります。

reki.hatenablog.com

 

 

10. リーマン・ブラザーズ

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世界的恐慌リーマン・ショックを起こした張本人

2008年のリーマン・ショックはまだ記憶に新しいところです。

倒産前までリーマン・ブラザーズ証券といえば世界の金融界のリーダー的存在。そこに就職できることは、高収入と社会的地位を約束された超絶エリートとして羨望の眼差しで見られたものです。

リーマン・ショック破綻から発生した世界的不況と景気後退は、2008年後半からじわじわと日本経済を侵食し、金融業のみならず製造業や小売などあらゆる業界に影響を与えました。

リーマン・ブラザーズはもともと、19世紀半ばにプロイセンからアメリカに移住したユダヤ系のリーマン兄弟が興した綿花取引の「リーマン商会」が母体。

創業者のエマニュエルとメイヤーは会社の事業として金融投資を開始し、のちにそれは会社の主産業となっていきます。

エマニュエルの息子のフィリップ、その息子のロバートまでリーマン一族が経営していましたが、同族経営の批判を受けて同族以外の経営者を向かい入れるも、社内改革に失敗し経営危機に陥り、1984年にはアメリカン・エクスプレスに身売りをせざるを得なくなりました。

1994年に再独立すると、アメリカの住宅バブルの波にも乗り、サブブライム・ローンを大量に売りさばいて順調に売り上げを拡大させました。

ところが2008年に住宅バブルがはじけると、住宅ローンが相次いで焦付き、損失が恐ろしい勢いで加算。市場もリーマンを見切り株価が滝のように急落。最終的に約64兆円という天文学的な数字の巨額倒産へと至り、先述の世界的な不況へ導火していきました。

  

 

 

まとめ

栄華から崩壊に至るのは本当に一瞬なのだなとゾッとします。

その栄華を極めていた頃から崩壊に至る種を含んでいたのだろうし、大きくなりすぎてしまった故に崩壊してしまったというのもあるのでしょう。

グローバルブランドというのは、ある意味で時代を映す鏡と言えるかもしれません。

産業構造やライフスタイルの変化、あるいは人々の意識やモラルの変化といったものも、その時代もてはやされる「ブランド」から見えてくるかもしれません。

 

 

参考サイト

"12 Long-Dead Brands That Are Ripe For Resurrection" BUSINESS INSIDER

"Memorable Companies That Have Vanished" Daily Finance

"8 iconic brands that have disappeared" Fortune

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