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歴ログ -世界史専門ブログ-

おもしろい世界史のネタをまとめています。

知るときっと興奮する世界史の10の争乱期

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熱く血がたぎり新たな世が生まれる、それが争乱の時代

世界史が好きなんです、と言えば

へー、じゃあどの時代が好きなの? 

って絶対聞かれます。

なんとイケてない質問か、と思いつつ一応答えるのですが、そんなのたくさんあるに決まってるじゃないですか!!

 

人によって好みはありますが、ぼくが好きな時代の特徴は「混乱している時代」です。

経済やテクノロジーの発展、または気候の変動などで為政者がこれまでのやり方で国を統治できなくなり、そこに外から勢力がやってきて国内と結びついたり、逆に国内でうまく時流にのって天下をひっくり返したりする。そんな時代です。

ということで、今回は勉強したらきっと興奮するに違いない地域・時代をセレクトしてみます。あくまで個人的な主観に基づいたものなので、ご容赦くださいませ。

それでは10位から行きます。

 

 

10位:英仏蘭西による侵略と受容の時代(17世紀〜19世紀東南アジア) 

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東南アジアは伝統的に中国とインドの中間にあり海上貿易で栄え、独自のマルチカルチャーを育んできた地域です。

この地域にヨーロッパ勢力がやってきたのは14世紀ごろからですが、ジャワ、アチェ、シャム、ベトナムなどの地場勢力はこれらヨーロッパ勢力と時には敵対、時には味方となり、ある意味「共存」していくことになります。

16世紀に起こり17世紀にジャワ全域を支配したマタラム王国や、1802年に阮朝を建てた阮福映などは、ヨーロッパ勢力と結ぶことで勢力を拡大しました。

ですが結局、さらなる資源と権益の拡大を目指すヨーロッパ勢力の支配力が強まり、19世紀にシャムを除くほぼ全域が植民地となってしまう。ところが東南アジアの人々はその植民地の時に培われた「体」を受け継ぎ、独立戦争を戦い現在の国家を建国していくに至ります。

ヨーロッパ勢力と地場勢力の「支配と被支配」の関係だけでは説明できない、ドロドロの愛憎劇が繰り広げられるのが、近代東南アジア史の魅力です。

 

カオス度  :☆

後世への影響:☆☆☆☆

キャラクター:☆☆

点数    :7/15

 

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東南アジアの建国神話 (世界史リブレット)

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9位:東アジアの大航海時代(16世紀東アジア)

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画像転載元:asahi.com

ぼくが日本史で一番好きな時代がここ。我々のご先祖さまが歴史上一番アクティブで抜け目のない連中だったからです。

この時代の日本は商業が発達。石見銀山の開発もあり、旺盛な物欲で中国の品物や南蛮の武器を買い求めていた時代です。

一方で明は海禁政策を採っていましたが、特に江南流域の経済発展もあり商業が急速に発展。一部の中国人武装商人は禁制を破って海外貿易に打って出、戦国時代の九州や江南に拠点を構えて大規模な密貿易を行っていました。

日本人の中にも貿易船団を組んで中国・東南アジアへと繰り出す者が大勢おり、戦国時代の終結とともに用済みになった侍たちが東南アジアに「出稼ぎ」に行ったりしてました。その代表格がアユタヤの山田長政です。

 地域や共同体の枠組みを外れたアウトローどもが割拠し、中央に影響を与えていく様は痛快の一言です。

 

カオス度  :☆☆

後世への影響:☆☆

キャラクター:☆☆☆

点数    :7/15

 

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倭寇―海の歴史 (講談社学術文庫)

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8位:東アフリカのアラブ王国の時代(18世紀〜19世紀東アフリカ)

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東アフリカ〜アラビア半島〜インドに向かうインド洋の海洋ルートは、古来からインド商人、アラビア商人、スワヒリ商人の活動の舞台でした。

大航海時代に突入したポルトガルは、1500年初頭に東アフリカとアラビア半島をその支配下に収め、インド洋交易の掌握を図りました。ところが1698年にポルトガルはアラビア半島の小国オマーンに敗れてしまう。

勢いにのったオマーンは東アフリカのザンジバルや現在のタンザニア〜ケニア沿岸からポルトガル勢力を駆逐し、インド洋交易を牛耳ることに成功。アラビア半島とザンジバル島に領土を持つ「オマーン海上帝国」を成立させました。

アラブ商人はその後東アフリカの支配を強めていき、現在のコンゴ南東部まで支配下に収めますが、進出する欧米列強に抗しきれずに徐々に崩壊していくのです。

ヨーロッパ勢力を地場勢力が駆逐する痛快さ。そしてアラブ人がスワヒリ、インド、ヨーロパ商人と時には組み、時には敵対しながらも商圏を拡大していくダイナミックさが魅力です。

 

カオス度  :☆☆

後世への影響:☆☆☆

キャラクター:☆☆

点数    :7/15

 

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スワヒリ都市の盛衰 (世界史リブレット)

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7位:北洋軍閥時代(20世紀前半中国)

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清朝末期から日中戦争に至る20世紀前半の中国の混乱期はなかなかのカオスっぷり。

日本軍がいかにして中国への関与を深めていったか、という視点から見られることが多いですが、客観的に見たらこの時代は清朝という権力の空白を埋める地方軍閥による「戦国時代」です。

張作霖や馮玉祥、段祺瑞といった軍閥の頭領は、地方を基盤にして中央を無視した独自の統治を行って富を蓄え私兵を整備しつつ、欧米や日本といった外国勢力を上手く使って自派を肥え太らせようとしました。

一般的にこれら北洋軍閥は1922年から始まった国民革命軍の北伐によって制圧されたとされますが、国民革命軍の中にも軍閥の一味がおり、また軍閥の武力なしに国民党政府も統一事業を成し遂げることはできませんでした。

中央政府と地方軍閥の合従連衡っぷり、軍閥同士の争い、そして諸外国の野心、徐々に勢力を拡大する中国共産党…。

中国史の面白さが詰まったのはまさにこの時代です。

 

カオス度  :☆☆☆

後世への影響:☆☆☆

キャラクター:☆☆

点数    :8/15

 

関連書籍

覇王と革命: 中国軍閥史1915-28

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6位:メキシコ革命(19世紀〜20世紀メキシコ)

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メキシコも中国と同じように歴史的に地方の軍閥や地主が力を持っており、彼らの力を抑えつつ、北の強大国アメリカに対抗しながら国を発展させていく必要がありました。

ところがディアス大統領の時代に貧富の格差が拡大しとうとう革命が勃発。それに呼応してパンチョ・ビリャやサパタなどの軍閥や地主も旗揚げし、その後中央政府と合従連衡を繰り返しながら革命を継続させていく。

その途上で地方軍閥は中央政府によって淘汰されていき、メキシコは革命を「制度」として取り入れるに至ります。

友情・戦い・裏切り・大逆転…。まるで映画のような展開に、手に汗握ること間違いありません。

 

カオス度  :☆☆

後世への影響:☆☆

キャラクター:☆☆☆☆

点数    :8/15

 

 

関連書籍

メキシコ革命 (世界史リブレット)

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5位:ムガール帝国末期(18世紀〜19世紀インド)

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ムガール帝国末期の18世紀〜19世紀、中央政府の力は弱まりムガール帝国皇帝は「お飾り」に過ぎなくなり、マイソール王国、シク王国、ジャイプール王国など様々な藩王国が独自の勢力を持ち、互いに同盟を結んだり敵対したりしていました。

そんな中でインドの掌握を狙うイギリスは、東インドのベンガルの権益取得を皮切りに、マイソール戦争、マラータ戦争、シク戦争などで有力な藩王国を打ち破っていき、インド支配を強めていきます。

各藩王国は互いにいがみ合い、イギリスやフランスなどの外国勢力と結び自分の権益を確保しようとする者、あくまで民族自決を図りイギリスに正面からぶつかる者、様々な抗争劇が繰り広げられました。

中でも世界初のロケット部隊を創設しイギリス東インド会社に痛打を与えたマイソール王国のティプー・スルターンなど、優れた指導者や部隊がインド側に現れて頑強に抵抗する様は非常に興奮します。

でも途中で必ずイギリス側に寝返る奴が出てきて、「テメエ!!」と思うのですが。

 

カオス度  :☆☆☆

後世への影響:☆☆☆

キャラクター:☆☆☆☆

点数    :10/15

 

 関連書籍 

近代インドの歴史

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4位:オスマン=トルコの拡大の時代(13世紀〜16世紀)

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13世紀末に興ったオスマン・トルコは、16世紀までに北は中欧、南はサハラ砂漠、東はペルシア湾、西はアルジェリアに至る大帝国を築くのですが、その原動力は「職業軍人(スィパーヒー)」にありました。

スルタンと直接契約した地方有力者である彼らは、必要に応じてスルタンの旗の元に集合して戦い、勝った暁にはより大きな封土を得られる。その富を原資にしてさらに軍事を拡大し再び戦で富を獲得していく、というのが基本サイクルでした。

外に敵を作ることで帝国の富を獲得してくる必要があったため、適切な統制と軍事的優位性があればどこまでも拡大していける爆発力がありました。

結局は領土が伸びきったことに加えて、西欧側のテクノロジーの発達で軍事優位性が無くなり、拡大戦略が頭打ちになったことで、衰退の一途をたどることになります。

 現在のややこしい国境線と民族問題の火種がオスマン=トルコの時代によって作られているので、世界史を学ぶ者にとっては無視できません。

 

カオス度  :☆☆

後世への影響:☆☆☆☆☆

キャラクター:☆☆☆☆☆

点数    :12/15

 

関連書籍 

オスマン帝国 イスラム世界の「柔らかい専制」 (講談社現代新書)

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3位:モンゴルの拡大の時代(11世紀〜12世紀)

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 オスマン=トルコと似たような感じですが、モンゴル帝国もその圧倒的な軍事力でユーラシア各地の既存勢力を破壊し尽くし、モンゴルによる新たな秩序を打ち立てました。

その破壊的な強さと領土の拡大に目が行きがちですが、モンゴルが成し遂げた真に偉大なことは、それまで各地域で閉じていた経済圏をユーラシア大陸全体にまで拡大させたことです。

モンゴル帝国は西はヨーロッパ&中東、東は北京に至る交易ルートを確保して各地の関所を廃し、交通インフラを整えることで流通を促進させ、カネを流通させて支配地域が「儲かる仕組み」を作り上げました。これこそ「ディスラプション」というやつです。

結局帝国は分裂を重ねて消えていき、モンゴルが作った大ユーラーシア経済圏も閉ざされてしまうのですが、モンゴルがユーラシアに与えたインパクトは凄まじく、各地に軍事的・経済的・政治的に様々な変革をもたらしたのでした。

 

カオス度  :☆☆☆

後世への影響:☆☆☆☆☆

キャラクター:☆☆☆☆☆

点数    :13/15

 

 関連書籍

クビライの挑戦 モンゴルによる世界史の大転回 (講談社学術文庫)

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2位:フランス革命とナポレオン戦争(18世紀フランス)

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「フランス革命はなぜ起こったのか」という問いは、それだけで分厚い本1冊になるので、説明など到底出来やしないのですが、

簡単に申し上げると「技術や商業の発達でブルジョワの人口が増加しているのに、アンシャンレジームでは彼らに適切な機会と権利を与えることができず富は吸い上げられるばかりで、その不満が爆発した」ものです。細かく言えば他にも色々な要因があるのですが。

世界史に与えた影響はとてつもなく大きく、我々にとって当たり前の価値観である自由や平等が普遍的なものになったのはフランス革命が非常に大きい。

革命自体は血で血を洗う政治抗争なのですが、それは「次の時代のベンチマーク」をどこに据えるかの葛藤でありました。革命はナポレオンによって中断され、以降は「武力による革命の輸出」のフェーズに入っていく。

現代の始まりとも言えるフランス革命は、歴史ファンにとってはたまらないに違いありません。

 

カオス度  :☆☆☆☆

後世への影響:☆☆☆☆☆

キャラクター:☆☆☆☆☆

点数    :14/15

 

関連書籍

フランス革命はなぜおこったか―革命史再考

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1位 :十字軍の時代(11世紀〜13世紀)

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「十字軍の魅力を一言で」というのも難しいのですが、「とにかく訳がわからない」ところが魅力です。

宗教的情熱のみでマッスルパワーを得て戦う十字軍の男たち、受けて立つ有能なイスラム君主、内部抗争を繰り広げるイスラム地方勢力、この期に乗じて儲けてやろうとするイタリア商人。

様々なプレイヤーが中東の狭い地域に集って各々の意図を持って動き、行動が全く首尾一貫せずバラバラで、終いには何で俺たちは戦ってるんだっけ?的な状態になっていく。

そんな中でいくつもの劇的なドラマや魅力的な人物が登場します。「超ジェントルマンのブローニュのボードゥアン」「ガチムチマッスル野郎のリチャード獅子心王」「交渉で聖地を回復したフリードリヒ2世」「イスラムの英雄サラディン」などなど到底語り尽くせません。

 詳細はどうぞ、本をお読みになってください。

 

カオス度  :☆☆☆☆☆

後世への影響:☆☆☆☆☆

キャラクター:☆☆☆☆☆

点数    :15/15

 

関連書籍 

十字軍―ヨーロッパとイスラム・対立の原点 (「知の再発見」双書 (30))

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まとめ

 大なり小なり世の男の子はそうだと思うのですが、

どこに危険が潜んでいるか分からず何が正しいか分からない混沌とした状態に、頭を巡らし体を酷使し、全力でめいいっぱい駆け抜けることに喜びや生きがいを感じるのではないかと思います。

 歴史はそういう争乱の極みの中で全身を振り絞って生き抜いた男たちの物語で溢れているし、そういう連中の営みが何百何千何万と折り重なってきて、今我々が住む世界があるわけです。歴史が面白くないわけがありませんよね。

 このブログは今後も、そのような歴史の興奮や感動を伝えていくものでありたいと思います。

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