歴ログ -世界史専門ブログ-

おもしろい世界史のネタをまとめています。

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西欧の大国・フランク王国とは何だったのか(前編)

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現在のヨーロッパの母体となった「フランク王国」

 カール大帝とフランク王国と言えば、高校の世界史でも大きく扱われるし、

800年の「カールの戴冠」はセンター試験にも登場します。

メロヴィング朝のカール・マルテルがイスラム軍を打ち破った732年の「トゥール・ポワティエの戦い」や、前王のピピン3世が行った「ピピンの寄進」もめちゃくちゃ有名です。

これだけ後のヨーロッパに大きな影響を与えた事柄をが起こったフランク王国ですが、日本ではあまりこの時代は人気がないというか、あまり知名度がない気がします。この時代の本もあまり出てませんし。

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Work by cyberprout

後世に与えた影響の大きさもそうですが、西はブルターニュ・東はパンノニアまで制覇した軍事力、東方世界との関係の深さはかなり面白く、歴史好きは是非知っておいたほうが楽しいと思います。

 

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遊牧民族を統一した匈奴の王・冒頓単于

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*1

 北方遊牧民族を一大勢力にまとめあげた男

 匈奴は紀元前4世紀頃、中国の春秋戦国時代に突如として北方の草原地帯に出現した遊牧民族集団。

強力なリーダー・冒頓単于の元で遊牧諸部族を統合して強大化し、南の漢王朝の軍勢を打ち破って一大勢力になりました。

匈奴が率いた遊牧連合王国はその後内紛で南北に分裂。南匈奴も漢民族の王朝の中に取り込まれていきますが、匈奴で築かれた遊牧民族の諸機構は、その後北方草原地帯を支配する鮮卑、突厥、柔然、契丹、女真、モンゴルに受け継がれていきます。

 

*1:4th century Mongolic Xianbei archer

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医者によって殺された歴史上の人物

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 歴史上の人物を死なせた医療処置とは

ぼくは本当に医者という職業を尊敬しています。自分には無理だなと思います。

人体の構造や病気の仕組みにはまだ分からないことが多いのに、ほぼ全て異なる患者のケースに合わせて適切に処置しなくてはいけない。判断を誤って死なせたら医療ミスってことで罪に問われる可能性もある。請求金額ミスっても、サーバーを止めちゃっても、お客さんを怒らせてしまっても、クソ怒られるけど罪にはならないですからね。

当然、歴史上も医療ミスで死ぬ人は多くいましたが、そもそも「医療」も「ミス」の意味も定義も時代によって違います。

祈祷師が火を焚いて祈り続けたけど死んだのは医療ミスなのか?とか。

なので難しいんですが、今回は医者によって殺された歴史上の人物を集めました。

 

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孤高の島国・アイスランドの歴史

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大西洋の北に浮かぶ辺境の島国・アイスランド

アイスランドという名前からして寒そうなこの共和国は、面積10万3000キロメートルに対し人口28万人という小国です。

北海道と四国を足したほどの面積に、東京都目黒区ほどの人が住んでいる計算です。

産業は昔から牧畜・漁業が盛んでしたが、現在では金融産業が主力になっています。

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辺境にあったこともあり、世界史の主役に踊りでたことはありませんが、独特の興味深い歩みを見せています。

 

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世界史好きならチェックすべき海外のYouTubeチャンネル

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 世界史と英語を両方勉強できるYouTubeチャンネル

以前の記事「世界史好きならチェックすべき海外の世界史サイト」でも書きましたが、海外は様々なメディアが林立しており、エンタメとしての歴史コンテンツがえらく発達しております。

テキストコンテンツも人気ありますが、やっぱり今はYouTubeチャンネルが人気があり、100万再生を叩きだす動画もあったりします。

よく作られている動画は本当に面白いし、歴史と英語の両方の勉強にもなるので一石二鳥です。

今回はぼくがよく見る歴史系のYouTubeチャンネルをご紹介します。

 

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「平和のシンボル」の歴史

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 ハト、オリーブ、Vサイン…

「平和の象徴」と言われているものって以外と多くあります。

ぱっと思いつくとこだと「ハト」がありますね。平和式典でハトが飛ばされることがありますし。でも何でハトなんでしょう。

あとは反戦デモとか反原発デモとかではピース・シンボルが用いられます。もう見慣れてるからこれが反戦の象徴だってパッとわかりますけど、これっていつからあったんでしょうね。

 「平和のシンボル」の歩みを見ていくと、その時代で「どういう事柄が平和のシンボルであるのか」が分かって面白いのではと思ったので調べてみたのですが、調べていくうちに「平和という言葉自体の意味の拡大」も見えてきました。

 

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その気もないのに「神様」になってしまった人たち

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勝手に周囲の人間に神様に祭り上げられてしまった人たち 

史上、自分のことを「我こそは神なり」と言った人は大勢います。現代でもいますけど。

そんで国家樹立の正当性を得たり、教団のトップに君臨したりしたのですが、

別に自分で自分のことを神だと一言も言ってないのに、周りの人間が「あの人は神に違いない!」と言われて祭り上げられてしまった人がいます。

勝手に神様扱いされて教団のトップに据えられてしまったり、イデオロギーの中心になってしまうその心中は察するに余りありますが、そうなってしまう特殊な事情があったのでしょう。

 ということで、勝手に神様になってしまった人たちをピックアップしてみました。

 

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フランスの北アフリカ植民地支配と経済依存構造の成立について

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旧宗主国フランスに依存する、不安定なマグレブ諸国

チュニジア、アルジェリア、モロッコを総称してマグレブ諸国(リビアとモーリタニアを含む場合もある)と言いますが、日本人にとっては馴染みが薄い地域です。

モロッコはサハラツアーやマラケシュ、カサブランカと言った町を巡るツアーで特に女性に人気があるようですが、アラブの春の発信地チュニジア、日揮の社員が襲撃され殺されたアルジェリア、リビア革命が起きカダフィが倒されたリビアなど、治安が悪いというイメージを持つ人もいるかもしれません。

これらの国々はヨーロッパ諸国、特に旧宗主国フランスとの関係は深いものがあります。

過去の支配し支配されという経験から反ヨーロッパ・民族ナショナリズムの声は強いですが、一方で植民地解放を終えて長い時間がたった今でも経済的にフランスに頼る部分が大きい。

今回はフランスの北アフリカ植民地支配とその間のマグレブ諸国の政治・経済を中心にまとめていきます。

 

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